法要の一般的な服装
いろいろな法要に出勤して坊さんの立場で多くの法要でお勤めさせていただいています。
枕経と言ってご臨終を迎えるとき、お亡くなりになってすぐ、お通夜、お葬儀、火葬場で、初七日、四十九日、納骨、年忌、お彼岸、お盆などなど、枕経は着の身着のまま、普段着の場合が多いですね。
その後、四十九日、納骨法要までは、「喪服」が一般的ですが、それ以降の年忌法要(一周忌、三回忌など)は、まちまちなのが率直な感想です。
まちまちと言っても、さすがに派手な服装の方は滅多にいらっしゃいません。
男性は、背広でネクタイから、カジュアルなポロシャツでスラックスですね。
女性は、地味なワンピースから、ブラウスとスカートですかね。
水子供養の服装も基本は同じ
まずは、無難な服装で水子のご供養も基本は同じだと思います。
派手な服やラフな格好はお控えになったほうが良いと思います。
あなたのお気持ちはともかく周りの方々から、不謹慎だと思われるのも、不本意ではないでしょうか。
まずは、地味な感じで、あれば無難だと思います。
服装は心を現す
私が法要のご依頼を受けた中で一番印象に残っている服装について、お話させていただいきますね。
お子さんの納骨法要のご依頼を受けて、出勤したところ、お母さまとそのご両親さまがいらしていました。
まあ、驚きました。お母さまは、パールホワイトのスーツ姿です。
そのご両親さまもスーツ姿でした。
なんでだろう??と思いますよね。
お子さんの納骨法要で、ピッカピカの衣装。
「お綺麗なお姿ですね。」とお声を掛けました。
「寂しかったので、しばらくお骨を自宅でお祀りしていたんですが、気持ちの整理をつけるつもりで、納骨することにしました。」とのことでした。
なかなか気持ちの整理はつかないものです。
ましてやこの世に生れ落ちることなく亡くなったお子さんとなれば心情は痛いほどわかります。
でも、せめて喪服ではないのだろうか?と誰しもが思いますよね。
お母さまが私の怪訝な気持ちを感じ取ったように、おっしゃいました。
「この世に生まれ出ることのできなかった不憫な子です。でも私にとってはかけがえのない、我が子なんです。この子が、産まれていたら今年で6歳、小学校に上がる年でした。学校の入学式に送り出してあげる気持ちで、お祝いの気持ちで、この服を選んだのです。」
なんだか、こちらの胸が熱くなって、目頭がウルウルしてきました。
「ああ、そうでしたか、それはおめでとうございました。」と、反射的に応えてしまいました。
納骨がおめでたいとは言えません。後から、後悔いたしましたが、言ってしまったことは仕方がありません。
極楽浄土にある、お子さんだけの全寮制の学校に送り出す気持ちで、精一杯のエールを送るつもりで、お勤めしました。
服装もおもてなし(=供養)
私は供養を「おもてなし」だと思っています。
亡くなった方をご縁として、仏さまのみ教えに触れていただく、人の生き死について考える機会にする。
それはもちろんですが、してあげたかったこと、悦ぶだろうと思うことする、お供えも、ご本人が好きだったものを差し上げる、言葉も愛語(優しい言葉、思いやりのある言葉)をかける、そういう見地に立てば、服装も「おもてなし」=供養だと思うのです。
着て欲しい服はなんだろうと?
考えて衣装を選択されたらいかがでしょうか。